ゴルフボールも時代とともに変化していた?!知られざる歴史とは?
ゴルフをプレーするにあたって欠かせない存在といえば、ゴルフボール。
時代とともに変化したのはゴルフのルールやプレースタイルだけではありません。実は、ゴルフボールもまた、その形状や構造をはじめとした技術的進歩を遂げています。
本日は、そんなゴルフボールに焦点を当てて、今と昔のゴルフボールの違いや規格の変遷に至るまで詳しくご紹介していきます。
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目次
1.初期のゴルフボールはどのようなものだったの?
1-1 フェザーリーボール
フェザーリーボールとは、1900年代初頭に登場したカウレザーの中にガチョウの羽毛を詰めたゴルフボールです。
水で湿らせたたっぷりの羽毛を牛革の袋に詰めて封をした後乾かす、という特殊な製造方法を経る必要があるため、高度な技術を持つ職人さんでも一日4〜5個程度作るのが限界だったそうです。
値段も非常に高価で、当時の庶民にはとても手が出せるものではありませんでした。
1-2 ガッティボール
ガッティボールとは、「ガッタパーチャ」と呼ばれる天然樹脂を使用したゴルフボールです。
樹脂を使用している分価格も安く手に入りやすいため、高価で希少価値の高いフェザーリーボールに代わって登場しました。
しかしながら、飛距離のばらつきやスイング後の弾道の不安定さなど欠点も多く、ボールとしての性能はフェザーリーボールに及ばないものだったといわれています。
1-3 ハスケルボール
ハスケルボールは、アメリカに住むゴルフ好きの医師、コバーン・ハスケル氏が開発したゴルフボールです。
その製造方法は、ボールの中心部(コア)に糸ゴムを巻きつけた後、さらに上から天然樹脂のカバーで覆うというこれまで紹介してきたどのボールよりも特殊なもの。
ガッティーボールよりも飛距離・方向性ともに安定していたため、糸巻きゴルフボールが登場するまでの間、ハスケルボールはゴルフボールの主流となりました。
またこのハスケルボールは、次にご紹介する糸巻きゴルフボールの原型になったともいわれています。
1-4 糸巻きゴルフボール
糸巻きゴルフボールとは、ボールの中心部(ソリッド)に糸ゴムを巻きつけその上からカバーで覆うことで完成する3重構造のゴルフボールです。
カバー部分には天然ゴムの「バラタカバー」と合成樹脂の「サーリンカバー」の2種類がありましたが、特にバラタカバーは天然ゴムを使用している分値段も高く、庶民には手の出しにくい代物だったといわれています。
一方で合成樹脂のサーリンカバーを使用した製品は値段も比較的安い上に、耐久性も高く、アマチュアゴルファー達からの人気も高かったそうです。
2.ボール表面の凹凸(ディンプル)が生まれた経緯
ゴルフボールの特徴といえば、表面につけられたあの独特の凹凸ではないでしょうか。
この凹凸はボールの飛距離や弾道を安定させるために付けられた「ディンプル」と呼ばれるもので、初期のゴルフボールには無かった仕様なのです。
2-1 ディンプルの始まりはガッティボールの表面についた傷
ディンプルは、ガッティボールの表面についた傷がきっかけで生まれたといわれています。
先ほども説明した通り、初期のゴルフボールの1つであるガッティボールには、飛距離のばらつきやスイング後の弾道の不安定さなどいくつかの大きな欠点がありました。
当時のゴルファー達にとっても、この不安定さは大きな悩みだったようです。しかし、しばらく使い続けていた結果、あることに気がつきます。
それは、「ボールの表面に傷がつくと飛距離が伸び、弾道も安定する」というものでした。
空気力学などが発達していない当時において、ゴルファー達は長年培ってきた経験と直感のみで現在のディンプルの原型となるものに行き着いたのです。
凹凸が飛距離や弾道の安定性に影響を与えるということが分かると、次第に「どんな凹凸が最適なのか」を探すための試行錯誤が重ねられるようになっていきました。
2-2 現在、ディンプルは300〜400個が一般的
最近のゴルフボールに付けられているディンプルの数は、300〜400個前後が一般的のようです。
ディンプルの数は、ボールの飛距離、弾道の安定性、滞空時間など様々な方面に大きな影響を及ぼします。
多すぎてもいけない、かと言って少なすぎてもいけない…絶妙なバランスを実現するためには非常に高い技術力が必要とされます。
ちなみにゴルフボールを製造する各メーカーによってディンプルの数はもちろん、内部構造、配置などが微妙に異なるため、自分にあったボール選びをするといいでしょう。
3.ゴルフボール規格の変遷
1900年代中盤以降は、先ほど説明したディンプルも含めより良いゴルフボールを製造するための改良が頻繁に行われるようになりました。
一方で、最新の技術を搭載したボールとそうでないボールの差が顕著となり、使用するボールによって結果に大きな差がつくようになってしまったのです。
そこで登場したのが、ゴルフボールの重量、大きさ、形状等を統一するための「規格」でした。
3-1 R&Aによる規格が導入される(1920年)
1920年になると、イギリスのゴルフ協会であるR&A(Royal and Ancient Golf Club of St.Andrews)によって初のゴルフボール規格が導入されます。
具体的には、「大きさが直径 1.62″ (41.15mm) 以上、重量は 1.62 oz (45.93 g) 以下にすること 」というものでした。
しかし、このR&Aの規格に基づいて製造されたゴルフボールは後に「スモールボール」と呼ばれるようになり、ローカルルールでも使用が禁止されてしまいます。
3-2 USGAによる規格が導入される(1930年)
1930年には、R&Aの規格に続いてアメリカゴルフ協会(USGA)でも独自のゴルフボール規格が導入されました。
その規格内容は、「大きさが 直径 1.68″ (42.67mm) 以上、重量は 1.62 oz (45.93 g) 以下 」というもの。
比べてみると、R&Aの規格が「大きさが1.62″ (41.15mm) 以上」であるのに対して、USGA側の規格は「大きさが 直径 1.68″ (42.67mm) 以上」とされています。
つまりUSGAの導入した規格の方が、1.52mmほど大きいのです。
この頃から、USGAの規格に基づいて製造されたボールはラージボールと呼ばれ、反対にR&Aのボールはスモールボールと呼ばれるようになりました。
そして1990年に規格が統一されるまでの60年もの間、異なる規格のボールが並存する状態が続いたのです。
3-3 ゴルフボール規格が統一される(1990年)
1990年になると、R&A側がボールの大きさに関する規格をUSGA側に譲歩することで、事実上のゴルフボール規格統一化が達成されました。
つまりUSGA側の規格によって製造されたラージボールが万国共通の規格となったわけです。
ラージボールがスタンダードとなった現在、スモールボールを公式試合で使用することは禁止されているため、お目にかかる機会はほとんどありません。
4.現在はソリッドボールが主流
ここまでゴルフボールの変遷について紹介してきましたが、現在はソリッドボールト呼ばれるゴルフボールが主流となっています。
ソリッドボールとは、高分子化合物で作られた高性能のゴルフボールのことで、現在、市場の90%以上を占めていることからも、その人気の高さが見て取れます。
従来のゴルフボールにはなかった飛距離、安定性、耐久性の3拍子そろったゴルフボールの完成形と言っても過言ではありません。
各メーカーによって様々なバリエーションがあるため、興味のある方はぜひ調べてみてください。
ゴルフボールの選び方はこちらをチェック。
まとめ
今回は、ゴルフボールの歴史とその変遷についてご紹介しました。
1900年代初頭に登場したフェザーリーボールからみてみると、素材、構造、大きさ、重さなど様々な要素が時代とともに大きく変化してきているのがお分りいただけるのではないでしょうか。
ゴルフをプレーするにあたってボールはあって当たり前、だからこそ今一度その歴史を振り返ることで、技術の進歩や人々の歩みに想いを馳せることができます。
今後も技術の進化に伴って、新しい性能を搭載したゴルフボールが次々と登場してくるでしょう。
最新のゴルフボールを見つけた際には、ぜひ昔のゴルフボールと比較して、その違いを確かめてみるのもいいかもしれませんね。

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